いまさら聞けない、メールマーケティング入門 ── なぜいまメルマガなのか

更新日:2026/08/07

「メルマガはもう下火」「もっと新しいものを」。ほんの数年前までメールマガジンはそう言われ、敬遠されることが少なくありませんでした。しかし現在、再びメルマガが注目されています。SNS全盛の時代になぜあらためてメルマガなのか。そして、そもそもメールマーケティングとは何をすることなのか。本コラムではメルマガの基本や、SNSや広告と比較して期待できる効果を解説します。メルマガに対する見方が大きく変わるはずですよ。

そもそもメールマーケティングって何?

「どうもメルマガの反応がかんばしくない」「きっちり定期配信しているけれど、開封率がいまひとつ」。メルマガ運用においては、こうした課題が次々と出てきます。読者の顔が見えないだけに開封率やクリック率に振り回され、何から改善すればよいのか分からず頭を抱える担当者も多いのが実情です。

しかし、その低調な数字にこそ、売れるメルマガへ変えるための鍵が隠れています。メルマガ配信によって得られるデータを分析し、効率的な打ち手を導き出す。これがメールマーケティングです。難しく感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば理解しやすくなります。読者の反応を読み解くための指標は、大きく次の4つです。

● 開封の状況(HTMLメール)
● クリックの状況
● 購入の状況
● 属性の状況

例えば開封率は、件名(タイトル)とセットで確認します。よく開封されるのは割引情報を扱ったときか、それとも限定情報を扱ったときか。こういった点を整理していくと、読者がメルマガに求めるものが見えてきます。クリックについては、どのようなコンテンツや掲載位置で伸びるかを見ていきます。購入については、注力している商品と実際に売れる商品が大きく異なっていることもあります。属性を見れば、Webサイトの利用者とメルマガ読者の層にズレがあると気づくこともあります。メールマーケティングとは、いわば読者の思考を知るための手段なのです。

メルマガに「リピーター」をつくるという発想

現代の消費者は、常に新しい情報にさらされています。テレビCMや街中の広告に加え、スマートフォンを開けばいくつもの広告が流れ込み、メルマガも多数届きます。情報の洪水のなかで自社を選んでもらうために、弊社が最も重要だと考えているのが、メルマガにリピーターをつくるという発想です。

Webサイトのリピーターももちろん重要ですが、ここでお話しするのはメルマガそのもののリピーターです。つまり、メルマガが届くのを楽しみにしている読者、届いたら反射的に開封してしまうような読者を、いかに生み出すかということ。成果の出ないメルマガは共通してこの視点が抜けています。メルマガは一方的に送りつけるものではなく、顧客とのつながりをつくるコミュニケーション手段です。一方通行の発信では、読み飛ばされてしまっても仕方ありません。

では、どうすればリピーターになってもらえるのか。第一の条件は、読者が求めている情報をつかみ、それに合った内容を届けることです。ただし、求められる情報を単純に並べるだけでは十分ではありません。また、感度の高い読者にはすでに知っている情報は読む必要がないと思われてしまうこともあります。そこで、次の掛け算を意識してみましょう。

(1)読者がほしいと思っている情報 ×(2)面白い・目新しいと感じる情報


この(2)には、センスや独自性が求められます。2つの要素が組み合わさることで、「つい読んでしまう」魅力的なメルマガになります。

なぜいま、再びメルマガなのか ── SNSとの比較

ここで一度、時代の流れを振り返ってみましょう。メルマガブームが訪れたのは2000年代前半。その後、ブログや動画、Twitter(現X)やFacebook、LINEといった新しいメディアが次々と登場し、販促の舞台は拡散性の高いソーシャルメディアへと移っていきました。
ところが、この流れに変化が出てきました。さまざまなお客様とやりとりするなかで、次のような声を頻繁に聞くようになりました。

● ソーシャルメディアは、思ったより使い勝手が良くない
● ソーシャルメディアは、思ったより面倒なことが多い
● ソーシャルメディアは、思ったより効果が限定的だ

企業がSNSで発信することは、相当な労力がかかります。運用ルールを熟知していなければ投稿は的外れになり、「いいね」は集まらず、場合によっては炎上につながってしまいます。分析を行い明確な戦略を立て、専門スタッフを配置して終日対応する体制がなければ、成果にはつながりにくいのが実情です。

そのため弊社は、リソースの限られたスモールビジネスにおいてはSNS単体での運用は費用対効果が見合いにくいと考えています。 そして多くの担当者が口を揃えて、やはりメルマガに注力したほうが成果が出やすいとおっしゃいます。これが、現在起きているメルマガ回帰の実態といえます。

「一通入魂」から「引き上げ育成」へ

ただし、漠然と配信し続けるだけでは読まれるメルマガにはなりません。むしろいまは、長年しっかりメルマガを作り込んできた企業ほど反応が伸びないという悩みを抱えがちです。理由は、読者の感覚とのミスマッチにあります。

かつてのメルマガは「一通入魂」スタイルでした。カメラマンやデザイナーを投入し、緻密に作り込んだ高品質な一通で読者の目を楽しませる。しかし現在の読者はさまざまな情報にさらされており、スマートフォンでの閲覧も増えました。小さな画面をフリックしながら、瞬時に情報の要・不要を判断しています。このような環境では、重厚に作り込んだメルマガはかえって「やり過ぎ」と受け取られてしまいます。

いま求められるのは、軽く、すばやく、良い情報を届けるメルマガです。ボリュームは軽く、配信頻度は高く、一人ひとりの読者に合った情報を提供することが条件となります。手間をかけた一通を送るよりも、軽やかな接触を高い頻度で繰り返し、徐々に読者を引き込んでいく。弊社はこれを「引き上げ育成型」のメルマガと呼んでいます。

「引き上げ育成型」のメルマガは、制作の手間も大きく軽減されます。Webサイト内の画像やテキストを流用し、HTMLエディターで手軽に量産することも可能です。ただし、見た目の良さや作り込み度合いが問われない代わりに、何の情報を届けるかが非常に重要になります。過去のクリックから興味関心を割り出し、「あなたにオススメ!」な情報を読者へ的確に届けられれば、信頼は着実に積み上がっていきます。

広告と比較したメルマガの3つの効果

では次に、広告と比較しながらメルマガがもたらす効果を見ていきましょう。

1:インプレッション(露出・印象)を伸ばす

露出が増えれば認知度が上がり、ブランディングにもつながります。決められた枠で不特定多数に発信する広告に対し、メルマガは一人ひとりにより多くの情報を直接届けられます。しかも定期的に配信し続けることで、興味や関心を維持し、読者を育てていくこともできます。この継続性は大きな強みとなります。

2:接触時間を増やす

人は接触時間が増えるほど、その対象に親しみと信頼を感じます(心理学では単純接触効果といわれます)。リスティング広告はユーザーが検索しなければ表示されませんが、メルマガは配信者が主体的に届けられるプッシュ型のツールです。たとえ商品に関心のない読者であっても、コンテンツとして興味を持ってもらえればWebサイトへ誘導できることもあります。

3:コンバージョンを上げる

メルマガは、成果につながるスピードの面でも強みがあります。ひとつは時間的な導線の短さ。審査を経て公開される広告と異なり、メルマガは配信タイミングを自由に設定でき、急なキャンペーンでもテキストを用意すれば30分程度で配信することもできます。もうひとつは心理的な距離の短さ。メルマガの読者は、購入や資料請求などで一度は接点を持った相手です。すでに一定の信頼があるため、すばやいアクションが期待できます。

もちろん、メルマガがあれば広告は不要なわけではありません。広告には新規流入を増やすという利点がありますが、即時的な効果という点ではメルマガに強みがあると弊社は考えています。広告に勝るこれらの効果は、SNSに対しては同様のことがいえるでしょう。ですが、前述のとおりSNSと比べてメルマガは「よりコスパが良く、深いつながりを持てる」ツールです。広告やSNSにない強みが、メルマガにはあるのです。

まとめ

メールマーケティングとは、数字から読者の思考を読み取り、リピーターを育てていく取り組みです。SNSを経てメルマガが再び注目されているいま、重要なのは従来の「一通入魂」から、軽く・すばやく・良い情報を届けるという発想へ切り替えることです。「メルマガはこうあるべき」という固定観念を手放し、対面販売と同じように読者と向き合ってみましょう。メルマガのレイアウトは商品ディスプレイ、テキストは接客の声かけにあたります。作り方によって、メルマガは優秀な販売員にも有能な営業担当者にもなってくれます。まずはリピーター獲得を目標に、次の一通から始めてみましょう。


<コラム監修>
米澤信弘(よねざわのぶひろ)
株式会社ライトアップ iクリエイショングループ マネージャー

メールマーケティング歴20年以上。大手企業のメルマガコンサルティングを多数担当し、クリエイティブ改善を軸にしたPDCAで読者反応を改善。2021年より宣伝会議「Webプロモーション担当者養成講座(メールマーケティング編)」講師。『販促会議』寄稿、AdverTimes取材記事出演。